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ただ、思うことはあった。
生徒会室の入口の前で立ち止まり、
私はフと、その側の男女のグループを見た。
楽しそうに笑いながら喋っている。
会長に出会うまで、私もそんなグループの一員だった。
普通の人間に恋をして、
デートがどうだの、キスがどうだのと
はしゃいでいた。
もし会長に恋をしなければ
私はこんなに叶わない恋に
苦しむことはなかったのに。
大好きな人は生きているのに、
逢えない。
もう二度と、逢えなくなる。
会長が、これからどんな道を生きてゆくのかも、知ることはない。
大好きなのに、世界という壁が
邪魔をするんだ。
俯き、片手で顔を覆う。
考えれば考えるほど、闇に飲まれていく。
そんな自分が、酷く情けない。
「何やってんのや?」
様々な考えを巡らせていると
扉がガラリと開いて、会長が現れた。
「ずっと立っとるつもりか?」
「ちょっと…考え事してた」
私はそう言って笑い、会長の横をすり抜けて、生徒会室に入る。
カーテンが窓中にかけられ、薄暗い。
光を嫌う吸血鬼。
闇に紛れれば私も…。
私は自分の馬鹿馬鹿しい考えに
呆れたような笑いをしてから
首を振り、近くのソファーに座った。
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