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「ようへ、春がまたくるの?」
「颯太、お前は早くその手にしたパンを食え」
あああ、と悲しみにうちひしがれる陽平に、何も考えずにとどめをさそうとするのでやんわりと阻止しておいてやる。
俺の言葉に、ああ、と思いなおした颯太は、がぶりと手にしているパンに食いついた。
…大丈夫だ颯太、お前の頭は何時だって万年お花畑だから。
「そんで?ラブレターって何だよ」
「朝にもらったの」
ひらりと手渡されたそれは真っ白な便箋に、可愛らしいハートのシール。
…少女漫画のようだ。
これがよくラブレターだってわかったな、と云えば、そういって渡されたのだと答えが返って来る。
…すげえ、相手もよくこいつの性格を分かっている。
確かに、颯太にはそういって渡さなければ、こいつはこの手紙をラブレターだと認識しないだろう。
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