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「女王様ー!」
「…」
遠くから、怪しげな名前が聞こえてくる。
否、間違いなくこれは俺を呼んでいる声なのではあるが。
しかし癪なので、これには返事を返さない。
出来るだけこの場を早く去ろうと歩を早める。
「女王様!待ってって!ちょ、」
「うるさい!連呼すんじゃねえ!!」
ばしーん、と小気味良い音を響かせて、駆けてきた奴の顔面を持っていた教科書(云っておくが、角ではない。流石に其処まで鬼じゃないので)で殴った。
真っ赤になった鼻をさすりながら、そいつはぶつぶつとお小言を漏らす。
「なんだよう。ちょっとした野暮用なのにさあ」
「早くその野暮用を告げろ。俺には俺の大事な用がある」
ふん、とそう告げれば、へーへーとだるそうな返事。
用事を伺うところによると、どうやら担任からのお達しのようだった。
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