gradual world

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その背中に、あ、と声を掛けて呼び止める。 「今日の晩御飯、ハヤシライスが良いってうちの母さんに伝えてて」 「りょうかい」 ひらひらと後ろ手に掌をひらめかせ、周りの生徒かの熱い視線を颯爽と浮けながしながら、廊下を突っ切り、階段を下っていく。 ふう、と溜息ひとつ。 これだから狗はやっかいなのだ。 昔っから俺に甘えたきりで、一向に成長しない。 あいつが末っ子なのも、俺が長男だということも影響してると思う。 …うーん、今後の課題だな、これ。 改善点ひとつ発見、てか。 そんな如何でもいい(いや、俺にしてみれ極めて大切な)問題を頭に浮かべて、さっきクラスメイトに頼まれた雑用をふと思い出す。 そういや、担任は今日は職員会議だっけ。 それ始まる前にさっさと頼まれたもの、渡しておこう。 時間のロスを極力避けるため頭に思い起こした計画を実行すべく教室に向かう。 早く帰らなくちゃ、拗ねる大きなワンコもいるしな。  
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