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「いつまでも彗星に頼ってちゃ駄目でしょ」
中学に入学した頃、
母がこう言った。
そして、
僕たちは1人ずつ部屋を貰った。
向かい合わせの扉。
でもそんな物は薄っぺらくて、
僕たちを隔てるには役不足だった。
僕等はいつもどちらかの部屋で過ごし、
寝ていた。
互いの体温が、
酷く安心できた。
その頃、
僕は母の言う言葉など
気にも留めていなかった。
そんな事、
どうでもよかった。
だって、僕たちはずっと一緒にいるのだから。
これからもずっと……
その日まで、
僕はそう信じて疑わなかった。
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