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並盛中風紀委員にして不良、ボンゴレ雲の守護者である彼――雲雀恭弥。
その彼を、以前殴り倒したのは、紛れもないこの僕だ。
なのに。
(暖くて醜い、僕が味わった事のない感情を持たされてしまっていますね)
それが酷く不愉快なのに、この感情を消したくないという矛盾。
そうだ、この矛盾が気持ち悪いのだ。
(何でこの僕が、ここまで悩まなくてはいけないのでしょうか)
あぁ、本当に不可解だ。
「何なの君。咬み殺すよ」
彼――雲雀恭弥は、僕の顔を見るなり、トンファーを構えた。
ただ僕は、雲雀恭弥に逢えば何かが判ると思い、並盛の応接室を訪れただけ。
闘う気なんてさらさらない。
僕は小さくため息を吐いて、雲雀恭弥を見た。
「相変わらずですね、雲雀恭弥」
「待ってたよ。君は僕がいずれ咬み殺すと決めていたからね」
「クフフ。僕を待っていたとは、驚きです」
あぁ、彼が本当にいい表情を浮かべている。
その表情に胸が高鳴り、心臓が痛みだす。
力強く刻む鼓動が、雲雀恭弥にまで聞こえてしまうような気がして、僕は赤くなった。
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