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そう、僕と骸は似ていたんだ。
「愛」
その一文字は、僕も骸も知り得ないモノだったから――…。
似たモノ同士
「暑いですねぇ……」
「うん。冷房入れるかい?」
「お願いします……」
ぐったりと応接室のソファに沈む骸を見て、僕は少し笑った。
相当暑いらしく、骸は手を使って必死に扇いでいる。
そんな健気なところがたまらなく可愛い。
頭は南国果実のくせに暑いのは苦手なんだね。
僕は口にしたら骸がむくれるであろう事を内心で呟き、骸を見つめた。
程よく紅潮した頬と皺を寄せた眉間が、必死に堪えている顔に見える。
暑いからなのか、シャツがめくれて、少し腹が見えているのは、僕に襲ってほしいと言っているようにしか思えないよ。
「骸、可愛い」
「……何ですかそれ」
紅い頬を更に紅くして、僕を睨むような目で見つめる骸。
判んないのかな、そういう態度も可愛いんだって事。
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