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カチ、カチ、と秒針の時を刻む音が響く。
僕は黙々と書類を進め、骸は僕をジッと見ていた。
骸は、時々邪魔をするものの、大抵はこうやって僕の仕事が終わるのを待っててくれるんだよね。
でも、今日は違った。
「……そういえば僕、雲雀君に愛してるって言われた事ないです」
急に何を思ったんだか、骸がそんな事を言い出した。
「骸だって僕に言った事ないじゃない」
「それは、僕に愛なんて理解出来ないものでしたし……」
「ワォ、僕も一緒だよ」
「……っ」
そう言って僕は骸を見た。
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる骸に、僕は少し胸が痛んだ。
だって、本当に判らないんだもの。
僕だってずっと気にしてたんだ、これは。
僕は席を立って、骸の傍に寄る。
どうしていいか判らなくて、骸の頭を撫でた。
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