似たモノ同士

5/7
前へ
/79ページ
次へ
「雲雀君……」 「骸は、嘘でも欲しいの?」 「……要らない、です」 「だったらいいじゃない」 「でも……でもっ言葉がないカップルなんていませんよ!?やる事はしっかりやってるのに、言葉一つないなんて……!そんなの、恋人でなくたっていい!!」 ちくっ。 骸の言葉が僕に刺さるみたいだ。 確かに骸の言う通りかもしれないね。 僕は柄にもなく、落ち込んだ。 骸はそんな僕の様子に、自分が言ってしまった言葉に気付いたのか、慌てた表情で、涙を浮かべながら僕に謝った。 「すみません……。僕、悔しくて。僕は雲雀君から沢山貰いました。人は僕の目的を達成するための道具であり、玩具だと思っていたのに。僕は雲雀君を好きになって、何かが変わったんです。……愛も、理解し始めてるんです。なのにっ僕は雲雀君に何もあげられてない!それが悔しくて……っ」 涙を流して必死に訴える骸が、たまらなくて。 僕は、強く、強く抱き締めた。 愛なんて知らないよ。 でも、でも。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

389人が本棚に入れています
本棚に追加