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この気持ちは何だろう。
六道骸が姿を消してから、一ヵ月と少し経った。
僕は未だ骸を咬み殺せないまま。
黒曜ヘルシーランドで受けた屈辱を晴らしてやりたいというのに、本人が居なければどうすることも出来ない。
思い出す、僕を嘲笑う瞳。
僕を殴る事が心底楽しいのだという表情。
何でこんなに思い出すのだろう。
あんまりにも苛々するもんだから、紙にシャーペンで力強く文字を書いてしまって、ポキッと悲しく芯が折れた。
僕は仕事が進まず一人ため息を吐く。
書類は溜まっていくばかりで、一行に減らない。
もう、草壁に任してしまおうか……。
そう考えていたら、コンコンと応接室の扉を叩く音。
風紀委員だったらこの書類を纏めて押し付けてしまおうと思って、入りなよ、と声をかけた(勿論風紀委員で無ければ、このストレスを解消するために咬み殺す)。
ガチャリと扉が開くと、そこには見知らぬ女子がいた。
あの制服には見覚えがある。
多分だけれど、骸の通う黒曜中のものだろう(並盛以外興味ないから、基本的に覚えないんだよね)。
「……貴方が雲雀恭弥……?」
「……そうだけど」
弱々しく紡がれた言葉に、僕は気紛れに返事を返す。
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