消霧

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女子は嬉しそうに笑ったかといえば、今度はとんでもない事を言い出した。 「骸様が……貴方と話したがってるの」 むくろ、骸? 「……六道骸の事かい?」 僕が聞き返すと、女子は小さく頷いた。 六道骸……。 この女子に会いたいと告げれば、骸に会えるのだろうか。 久々に気分が高揚する。 探しても見つからなかった獲物が自分からやってきてくれるのだ、自分でも無理ないと思う。 これで咬み殺せるじゃないか。 「骸に、会いたいな」 僕が一言そう言うと、女子は嬉しそうに笑って、骸様、と呟いた。 すると、突然女子の身体が霧に包まれる。 僕は訳が判らず、用心の為にトンファーを構えた。 少しずつ霧が晴れて行く。 僕はただ一点を見つめた。 そうして見えたのは、女子の姿ではなく、六道骸だった。 「クフフ、お久し振りですね雲雀恭弥」 相変わらず骸は変な笑い方をして、僕を見下すように見る。 ムカつくはずなのに、何故かとても懐かしくて、僕は構えていたトンファーを下ろした。 自分でもおかしいと思う。 僕を苛々させた元凶がそこにいて、すぐにでも咬み殺せるというのに。 僕は何故、そうすることが出来ない?
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