届かない声

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愛してる、と囁かれる、僕にだけ注がれる視線、熱い指先。首筋にかかる君の吐息までもが、僕は愛しい。 「僕も、好きですよ」 君の鋭い黒曜石を見ながら、僕は真直ぐに想いを伝えた。 少し前に、僕はこの幸せを想像しただろうか。 マフィアの殲滅をする為に、ボンゴレ10代目沢田綱吉を乗っ取ろうとしていたのに、僕は今雲雀君の腕の中だ。なんて、馬鹿らしい。そう思いながらも、君から離れられない、この身に降り注ぐ愛情が嬉しい。 君は僕の唇に優しいキスを落とした。柔らかくて、温かい幼稚なキス。照れ屋な君は、すぐに赤くなった顔を隠した。全く、仕掛けた当人が恥ずかしがってどうするのだ。だけどそんな君がたまらなく可愛い。 「ねぇ、雲雀君。知っていますか?」 「……何をだい?」 「僕は雲雀君無しじゃ生きていけなくなってしまった事です」 君は、すぐに嬉しそうな表情を浮かべる。耳元で、うん知ってる、と言われた。そうですよね、僕は毎日言っている。 そうだ、僕は君から離れたくなどない。だが、この身は何時、復讐者に捕まるか判らないのだ。僕は、犯罪者なのだから。 君と離れる日なんて考えたくないけれど、不安が積もっていく、胸が苦しくなる。 いずれは、手が届かなくなる日が来るのだろうか。 「……僕は、君と居たいんですよ」 だけど僕は、助けてほしいなんて言わない。僕を離さないでだなんて言わない。 (ただ少しだけ残った僕のプライドが邪魔するんだ、) fin.
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