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「嫌です」
何回目だろう、骸の「嫌」を聞くのは。
骸の分際で、僕に我儘を言うなんて。
ちょっと、ムカつくよね。
「何度言ったら判るんだい?僕にそんな趣味はない。一々君に合わせてなんかいらんないよ」
「でもっ好きなら用意していてくれてもいいじゃないですかっ」
「好きだけど、急に言われても出来ないよ」
涙目で僕を見つめるオッドアイ。
可愛いんだ、凄く。
こんなの誰にも見せたくないし見られたくない。
骸は僕のものだからね。
だけど、これとは別だよ。
僕はため息を吐いて、書類に手を伸した。
「あぁ!僕の事放ったらかしで仕事ですか!?」
「五月蠅い。骸、同じ事しか言わないじゃない」
「~~~っ!雲雀君の馬鹿!」
そう言って僕に背を向ける骸。
……背中が「寂しい」って言ってるよ。
仕事に集中したくても、その背中に目が行っちゃうし、鼓膜は骸の泣き声に支配されてる、そんな感じ。
あぁもう、骸の馬鹿、パイナッポー。
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