第三夜 血飛沫の舞い

24/31

9151人が本棚に入れています
本棚に追加
/256ページ
薄暗い道。 すぐ近くには川が通っているのか、水が流れる音が聞こえる。 それと自分の歩く音しかしない。 クロスは口笛を弾きながら、余裕綽々といわんばかりの態度で歩いていた。 暗く足元が満足見えないにも関わらず、力強く。 「さぁーて、俺の考えが正しければこの辺りで……」 ふと、足を止めた。 左右をゆっくり見たあと、クロスは一瞬にも満たないで魔剣を抜刀し、数回青色の軌跡を作った。 「まずは無難に、毒の糸か。魔力の糸に蠍の毒を仕込む……か。考えとしては悪くないが」 少しばかり考え込み、その間に剣を鞘に納める。 「あらあら、やっぱりまだ私が此所にいるのに気づいたのね? 流石だわ」 「素直に捕まる気になったか? 今だったら、まだ罪は軽いと思うぞ」 「残念でした。私、此所で捕まるわけにはいかないの」 やはりカーネリウスは此所にいた。 まだ姿は見えないが、気配からして一人のようだ。 考え通り、アルテリスをレインの方に送ったらしい。 「俺、いや俺達に何のようだ」 「何のようって言われても………ただ、貴方たちの顔が見たくなったから、ではダメかしら?」 楽しそうな声が狭い空間に響いた。 何回も周りを行き交い、クロスの顔をしかめさせる。 「そんな下らない目的のために、お前はここのドワーフを皆殺しにしたというのか!?」 「あら、それ心外だわ。あれはアルテリスが勝手に殺ったのよ。私が扉の前で待ってて言ったのに、ドワーフを殺しに行っちゃったの。私を責めるのはお門違いだわ」
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9151人が本棚に入れています
本棚に追加