第三夜 血飛沫の舞い

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平然とそんなことを言ってのける。 クロスは久々に感じる怒りという感情を隠さずに、呟いた。 「殺すか……」 「……?」 聞き取れなかったのか、カーネリウスは首を傾げて、自分を見る。 「殺すと言ったんだ!」 身を低くして、ぶわっと駆ける。 カーネリウスが支配する間合いに一瞬で詰め寄り、低い位置から剣を振り上げる。 まだ、全速は全然出していない。 さっき、カーネリウスが言っていたジェリスとかいう奴が来ないとも限らないからだ。 「──わっ!」 突然、現れたクロスに驚きながらも、カーネリウスは錫杖を盾のように、剣の軌道に合わせた。 ぶつかり合う音。 止められたことに多少たじろぎながらも、腕を動かすスピードを速めていく。 だが、それもリミットをかけている。 まだ二割も出していないが、カーネリウスはギリギリのようだ。 ──俺の二割を受け止めれるなんてな。 「少しはやるようだな。だが、半分の力を出すまでもないが」 「……余裕なのは……今だけ……よっ」 息を荒くしながら、そんなことを言ってきた。 クロスは、その台詞が聞こえた瞬間に、魔剣の能力を発動させる。 ナイフなどの凶器が幾つもクロスの身体にぶつかり、弾けた。 クロスを護った正体は、魔剣の能力で発動させた魔力オーラだが、カーネリウスは訳が解らないという様に、頭を大きく振った。 「今のは何ッ!? 無音動作で仕掛けたのにどうしてっ?」
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