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答えない。
答えるだけ、時間の無駄だ。
そう考えたクロスは剣の嵐を止めることはない。
「──もうッ! 奥の手を使わなきゃ!」
カーネリウスがそう言うと空間がねじ曲がったような気がした。
目の前の景色、つまりカーネリウスの身体がぶれはじめ、そして消えた。
何となく彼女が行使した力の種類は解ったクロス。
慌てるまでもなく、ただ黙って剣を下げる。
「おい、どこに居やがる」
問い掛けるが返答するバカはいないだろう。
クロスは、宛もなく斬りかかるようなことはしない。
魔剣を鞘に戻して、更に地下に向かって足を進めていく。
「バカそうには見えないからな。逃げるなら、奥にだろう。しっかし、あの女、もしかして転移の術を……?」
自分で言いながら、あり得ないと否定する。
転移の術は、レベルニク創世記の文明と一緒に失われたはずだ。
「幻術だと思うんだがな……。だが、あの空間の曲がり方は……」
途中で言い止めた。
突如、暗闇の道が光に満ちたからである。
数百メートル先も見渡せるほど明るくなった。
そして、クロスが進んでいる道の先には扉があった。
不器用に切り出してある扉は明らかに誘っているようだ。
一回舌打ちしてから、足を動かす。
すぐに扉に着いたクロスは、迷わず扉を開けた。
剣を抜いて、足を踏み入れる。
「ようこそ、クロス。やっぱり来てくれたのね」
「俺が逃げると思ったか?」
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