第三夜 血飛沫の舞い

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「えらくよく話すな。俺はお前のこと敵だと思ってんだぞ」 「だったら、斬りかかってくればいいじゃない」 「それは……」 正直なところ、クロスはカーネリウスがどういう人物なのか解らなくなってきた。 いきなり現れて族長さんを拐ったかと思えば、今度は注意をしてくる。 最初は罠かと思った。 わざと注意することによって自分の気を引くのかと。 だが、よく考えればそんなことあり得ない。 いくらカーネリウスが自分の気を引こうが、彼女が自分に勝てる確率は1%も上がることはない。 何故なら、まだ20%も力を出しきってないからだ。 「私がどういう人物なのか解らなくなってきたの?」 「ああ、最初は敵だと決め付けてたが、よく考えれば、お前は決して自分から攻めてはこなかった。族長さんは拐ったけどな」 本心をありのままに言うと、カーネリウスは楽しそうに破顔した。 「私も一緒よ。ジェリス様から聞いた話じゃ、魔獣なんかを見たらすぐに殺すとか」 「それは昔の話だ。あの頃は毎日が修行だったからな」 彼女は錫杖をしまい、ゆっくり近寄ってくる。 クロスは剣の柄から手を離し、普通に立ったまま、カーネリウスが近くに来るのを待った。 「貴方は不思議な人。私が人に興味を持ったのは貴方が初めて。本当……不思議」 「それはどうも。じゃあ、その初めて興味を持った人間の問いに答えてくれるか?」
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