第三夜 血飛沫の舞い

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「勿論よ。何でも訊いて。答えられないのは答えないから。例としては、初体験はいつだとかね」 「んなもん訊くか!」 「冗談よ。で、何を訊きたいの?」 凄く今ので疲れた感じがするクロスだが、そんなこと口には出さず気になってることを訊いてみた。 「さっき、お前は何の魔術を使ったんだ? 空間がねじ曲がったような感じがしたんだが」 「あーー、それって答えて良いのかしら? 悩むわねぇ」 「まさか、転移の術か? いや、絶対違うだろうけど」 「もう一回、見てみる?」 カーネリウスが訊いてきた。 クロスは願ってもないことだと思い、首を縦に振る。 すると、カーネリウスの周りの景色が歪み始め、段々彼女自身も歪み始めた。 改めてよく見てみると、クロスは嫌がおうにでも解ってしまった。 あれは──転移の術だと── 「もういい。もう解ったから止めてもいい」 そう言い、カーネリウスが転移を止めるのを待つクロス。 しかし、彼女は転移を止めない。 カーネリウスの表情には寂しい笑みが広がっていた。 「ごめんなさい、クロス。もう時間みたい。それにこれ以上貴方といるとあそこに帰れなくなるから、もう帰るわね」 「ちょっと、待て! まだお前には訊きたいことが──」 「レベルニク創世記とグライル」 呼び止めるクロスに、カーネリウスはそう言った。 意味が解らず、問い掛けようとするクロスを遮り、彼女は言う。 「レベルニク創世記は転移の術が盛んだった。そして、グライルは私の姓よ」
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