第三夜 血飛沫の舞い

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「おい、どういう意味だ!」 「調べればわかるわ。あと、魔界の扉もね」 そう言い残し、カーネリウスは完璧に姿を消した。 おそらく転移で本拠地に戻ったんだろう。 その本拠地が何処にあるか解れば、この任務を片付けてからすぐにでもそこに行って、カーネリウスからさっきの意味を聞き出すと言うのに……。 「くそっ、結局ジェリスとかいう奴が、どういう人物なのか解らなかったな」 頭をポリポリと掻きながら、部屋を出る。 すると、前方から金髪の男と小さい身体と逞しい髭を生やした男が駆け寄ってきた。 「よぉ、レインに族長さん。無事だったようだな」 「ハァハァ、やっと追い付きました。あの女性は何処に?」 息が絶え絶えになりつつも、レインは訊いてくる。 クロスは悪びれた感もなく、手を上に挙げた。 「逃げられちまった。あの女、まさか転移の術を使えるとはな。油断しちまったよ」 「転移っ? 幻術じゃなくてですか!?」 「ああ、最初は俺も幻術かなって思ったんだが、違った。あの空間の歪み方は転移しかあり得ない。俺でさえ転移なんかできねぇのに」 「転移とはそんなに難しい魔術なのか? 赤髪の剣士が出来ないほどに」 族長さんが口を挟む。 クロスは、ドワーフが殺されてしまったことに同情しながらも答えた。 「転移ってのは、レベルニク創世記の時は誰でも使えてたんだ。何で使えたか知らないがな。でも、レベルニク創世記が滅亡し、それと同時に転移の術も滅びた。転移は、今じゃ秘術とか禁術とか言われてるんだ。と言っても、今では使える奴なんかいないけどな」
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