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「ふむ、成る程、普通使えない術を使える女か」
「あの……族長さん……これからどうするんですか?」
レインが遠慮がちに訊いた。
クロスもそれは気になっていた。
他のドワーフは皆死んだのだ。
こんな広い地下空洞に一人で住むのは寂しいだろう。
「大丈夫だ。この砂漠には違うドワーフ部族が三つある。そこに行くさ」
「そこまで送っていきましょうか? 一人じゃ危ないですよ」
「いや、遠慮しよう。お主がアルテリスを封印させてくれたおかげで、だいぶこの砂漠も安全になった。一人だけで大丈夫だ」
「それなら、俺たちも弔ってからバリアスに行こうとするか」
クロスが発した言葉に、族長とレインが頷いた。
そして、三人は地下空洞の住宅地に着いて、斬り殺されているドワーフたちを丁寧に弔った。
クロスやレインはまだ良かった方。
今日もいつも通りの一日が訪れると思っていた族長は、込み上げてくる涙を止めることは出来ず、終始涙を流していた。
「じゃあ、俺たちは行くな。また会えるといいな、族長さん」
「ああ、いずれまた会えるだろう。女神が見守っているのだから」
「あの、お世話になりました」
弔いも終わり、クロスとレインは族長に別れを告げる。
族長は出来る限り元気に答えた。
「赤髪の剣士、金髪の剣士よ。また会おう。その時は多分、また騒動に巻き込まれるだろうがな」
二人はもう一度別れを告げ、地下空洞を出た。
途端、襲い掛かってくる日差し。
そして二人は重苦しい足を、踏み出した。
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