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王都の門も、紙を渡しただけで簡単に街の中に入れてくれた。
──魔術国だと聞いてたが、ここまでとはな……。
王都の街並みは一言でいえば、凄かった。
門を抜けると、目の前にはメインストリートと思われる大通りが現れ、その左右端には街灯が建っている。
通常の国は、蝋燭等で明るさを放っているがバリアス王国は違った。
蝋燭などとは比べ物にならないぐらいの明るさを放つ魔術で構成されていた。
更に、少しずつ空が暗くなっていくのに合わせて、光量も調節しているようだ。
凄いなと感心するしかない。
クロスは煉瓦が敷き詰めて作られた地面を歩き出す。
その後ろをレインが黙って追う。
どうやら、レインも感心しきっていて言葉を失っているようだ。
「これは、宿を探すのには苦労しなさそうだな」
周りを見渡しただけで、宿らしき建物がいくもあることに安堵するクロス。
とその時、前方から漆黒のローブに身を包んだ者達が、走り寄ってきた。
そして、クロスたちの前でひざまずいて、頭を地面に着けるぐらい下げた。
「お迎えに上がりました、クロス様、レイン様」
代表してか、漆黒のローブに身を包んだ誰かがそう言った。
クロスは眉をひそめる。
「俺たちがいるって誰に聞いたんだ?」
「サンワーク国境の門の兵士から、報告が届いたのです。サンワークの上将軍とその副官が、王都に向かっていると。そして、その目的も」
淡々と話す代表。
クロスはハァと小さく溜め息を吐いた。
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