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「まぁ、その会議の結果…………クロス。お前の任務が決まった」
何の任務かは聞かなかった。
聞かなくても分かったからだ。
「バリアス国の王女を探しにいけばいいんですね?」
クロスの問いに頷くダレス。
「その通りだ。明朝に出発しろ。それを伝えるために呼んだのだ」
「明朝ですか。速ければ速いだけいいですしね。
それより、大丈夫ですか?」
「何がだ?」
「俺がいない間に敵が攻めてきたら防げますか?」
クロスは傲慢とも言えるセリフを吐く。
ダレスは眉間にシワを寄せた。
「自惚れるな。お前がいなくても、ちゃんと防げる。
ジンもいることだしな」
「待ってください、父上!
その任務の期間はどのくらいですか?」
ラクスが急に声をあげた。
いつも静かなラクスにとって珍しいことである。
「この任務に期間はない。
バリアス国の兵士が王女を見付けてくれるか、クロスが見付けるしかこの任務に終わりはない」
「それではいつクロス様が帰ってくるか分からないのですか?」
「そうだ。だが、この国に来るまで、伝説の傭兵として名を馳せたクロスだから大丈夫だろう」
優しく諭したダレスだが、ラクスは顔をしかめたままであった。
それを見たクロスはラクスに言った。
「大丈夫ですよ、ラクス様。
一月もしたら帰ってきますって。心配はご無用ですよ」
「クロス様が誰より強いのはわかっていますわ。
わたくしはクロス様に会えないのが嫌なのです」
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