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ラクスの言葉に頭を掻くクロス。
クロスがどう返答しようかと困っているところを、ジンが助け船を出す。
「それでは陛下。話しも終わったことですし、部屋に戻ってもよろしいでしょうか?」
「ああ。夜遅く悪かったな。武器屋なら私の権限で、今日は遅くまで開いているからな。存分に準備をしてから、行くと良いぞ」
「わかりました。陛下の労り。感謝します」
クロスはそう言って、ラクスと一緒に大広間から出ていく。
その間も、クロスはラクスにどう言おうか迷っていた。
そして、その後を追い掛けるジンにダレスが声をかけた。
「ジン。ラクスはクロスのことが好きなのか?」
後ろを振り返ってうなずく。
「はい。私が見るところ、ラクス様はクロスのことを好いているように見えます」
「それでは、クロスはラクスのことをどう思っているのだ?」
「それは本人に聞くしかわからないでしょう」
ジンがそう言うと、ダレスはイライラするように言った。
「お前が見るかぎり、クロスはラクスを好いているように見えるかっ?」
その問いにジンは一拍置いて、答えた。
「私が見るかぎりでは、よくわかりませんが、少なくとも嫌っているように見えません。
好いているようにも見えませんが……」
「……そうか。いや、悪かったな。行っていいぞ」
ジンは「ハッ!」と言って、一礼したあと大広間から出ていった。
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