プロローグ

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「あり得ない……おかしい」 その呟きと共に、頭を項垂れる少年。 ボロく、何かの襲撃を食らったかのような木造の建物の中で赤髪の少年が涙を流していた。 近くには、男性と女性の死体が重なっている。 どちらも赤髪である。 少年は、何度も何度も拳を床に叩き付けた。 自分の力のなさ、両親を殺した相手への憎しみに、心が狂気と化す。 しかし、いくら相手を憎んでも、そいつは殺せないし、ましてや両親も帰ってくる筈がない。 そんなこと分かっている。 でも……でも駄目なんだ。 そいつを殺さないと、俺は生きていけない。 腕で涙を拭いてから、スタッと立ち上がる。 両親の死体を見下ろし、別れを告げた。 「今度、ここに来るときは誰よりも強くなっていることを約束するよ。それが俺を育ててくれた父さんと母さんへの恩返しだと思っているから……」 少年はでもっと言い、続ける。 「もし、俺がその前に死んじまったら、向こうでちゃんと謝るから。後、父さん。父さんが一番大事にしてた剣を持っていくよ」 それだけ言って、踵を返す。 そして、誓った。 もう二度とこんな気持ちにならないように、この世界で誰よりも強くなることを。 少年は玄関口の近くに置いてある剣を手に取り、腰にさして家から出ていった。
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