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「どうした?自分達から吹っ掛けてきて、怖くなったか?
愚かな奴等だ。俺のことをもう少し知ってから、そういう態度をとるべきだったな」
フッと鼻で笑った後、今度こそ店から出ていった。
残りの二人は、店の中でペタリと座り込んでしまった。
「あーあ、無駄な運動をしたな。疲れた疲れた」
サンワークは、それほど豊かな国ではない。
大陸の最北東部に位置しているのもあるのだが、最大の理由は、今は戦争中であるからである。
北にある小国、ハイルージュが半年前に攻めて来たのだ。
ハイルージュも、国力はサンワークと然程変わらない。
なのに、攻めてきた。
青年はこの戦争の裏に何かがあると確信していた。
そう。この青年だけが。
そして、今は一時的に戦闘は中断しており、少しの間、国民は平和を楽しんでいた。
平和になったお陰で、王都の道を行き交う人の数が半端ではない。
そんなに込み合っているメインストリートを、口笛を吹きながら歩く青年。
「そう言えば、今日は陛下に呼び出されてたな。
また、怒鳴られるのかなー。めんどくせぇなー」
独り言を呟いて、サンワークの主城ゼブラリタルに向かって、足を進めていく。
歩く度に、腰の剣が揺れて音を響かせる。
立ち止まり、剣を目を細めて見てから、また歩き出した。
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