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そこでは、レインがうっとりした目付きで魔剣を見ていた。
クロスは苦笑しながら、レインの肩を叩く。
「ほらっ、お前は自分で魔剣を造るんだろ? さっさと、魔力付与させる剣を選べって」
「はぁーい」
一応、魔剣から目を逸らし、剣がたくさん置いてある場所に足を進める。
剣を一個一個手にとって、品定めをしていたが、、チラチラと視線が魔剣に行っている。
──確かに、凄い魔剣だもんなぁ。
思わず魔剣に手が伸びた。
「それに触れてはならんっ!」
怒鳴り声が聞こえたが、もう触れた後。
柄を握りしめ、引き抜こうとしたとき、
バチッ バチバチバチッ
突如、結界のようなものがクロスの手を、柄から弾き飛ばした。
驚き、クロスは後方にジャンプした。
「封護結界か……? 何で魔剣に?」
クロスの独り言のような問いに、頼りない足取りで近づいてくるリユールが答えた。
「いかにも。グラビィティーには封護結界を二重に張っている。そうでもせんと、盗んでいかれるからな」
「だったら、身に付けとけばいいんじゃねぇの?」
「いや、グラビィティーはどの魔剣よりも数倍重たいらしく、リユールさんには持ち運ぶのも辛いらしい」
バリスがリユールさんに肩を貸しながら、クロスの隣に来た。
「それに、俺の産まれ故郷では、魔剣には封護結界を張るのが当たり前だったしな」
リユールの言葉に、クロスは一抹の疑問を覚えた。
“魔剣には封護結界を張るのが当たり前だったしな”
──つまり、魔剣を扱えたものが多数いたということになる。
だが、魔剣を扱えるのは、ギュレアシード使いでソーサラーじゃなくてはいけないのに……。
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