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「リユールさん。あんた、一体何者だ? 普通あり得ないんだよ、魔剣にルールみたいなのができるなんて。 世界中探しても人間で魔剣を扱えるのは、極々少数だ。あんたが生まれた所は魔剣にルールみたいなのができるほど、魔剣使いがいたのかよ?」
リユールは、ハァと溜め息をついた。
まるで、無知の者を見て嘆いているように。
「何で溜め息ついてんだよ?」
「無知め」
「ハァ? 俺はおかしいことを訊いただけだぜ?」
もう一度、溜め息をついて、リユールは都合良く手元にあった剣を抜いて、クロスに突き出した。
老人とは思えないほどの速さで。
だが、クロスにとっては、止まって見えるぐらいに遅く感じた。
頭を貫こうとした剣を余裕で避けて、その剣を奪う。
「いきなり何だよ?」
「今のを見て、何を思った? 何を感じた?」
「何をって…………、ただ老人にしては、動きが鋭いなぁって……」
リユールは「そうか」と言って、クロスに背を向けた。
「その剣を見てみろ。 ミスリル製でドワーフが造った剣だ。軽くて、しかもミスリル製のため、魔力付与もさせやすい。お手軽な価格で売ってやるぞ」
クロスは、話変えやがったなと思ったが、今は剣を見るのに集中した。
確かに良い剣だ。
白銀に輝き、重さも丁度良い。
更にミスリル製だというのが、魅力的である。
「おい、レインッ!? ちょっとこっち来い!」
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