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剣を選んでいるレインを呼ぶ。レインは何事ですかと言わんばかりの顔つきで、クロスに近付いた。
クロスは「ほらっ」と言って、白銀に輝くミスリル製の剣を、レインに差し出す。
それを受け取り、眺めるレインに、クロスは説明した。
「その剣はミスリル製でドワーフが造ったものらしいぞ。ミスリル製だから、軽くて、切れ味も中々だ。それに、魔力付与がさせやすいんだ。つまり、強い魔剣を造りやすいってことだ。
まぁ、そのあとの制御は、お前にかかっているがな」
所々頷きながら、レインは剣を振っていた。
そして、数回目の素振りをし終えたあと、大きく頷いた。
「これにします、将軍」
「そうか。で、いくらだ、リユールさん?」
「十万ゼスでどうだ?」
値段を聞いた瞬間、クロスの目がパチッと開かれた。
レインも同様である。
余程、驚いたようだ。
「おい! 何が手軽な値段だぁ? その値段なら普通の剣が二十本は買えるじゃねぇかっ」
「だったら買うな。無理に買わせはせんぞ」
「くぅぅぅううっ!」
クロスは奥歯を噛み締めて、唸る。
それを見て、リユールは苦笑を浮かべた。
「冗談だ冗談。無料でやるよ」
「本当ですか?」
レインが信じられないというふうに訊いた。
それもその筈。
いくら、十万ゼスが高すぎといっても、ミスリル製であるから、軽く五万ゼスは越えるだろう。
それを無料にするということは、正気の沙汰ではない。
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