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「じゃあ、いきますよぉーー」
時は、昼頃になり、太陽の位置がちょうど真上に差し掛かった辺りになった頃、クロスとレインは昨日の広場で魔剣造りをし始めるところだ。
「あんまり、気負いすぎるなよ。下手したら死ぬからな」
「大丈夫ですよ」
剣を自分の胸の前で水平に構えるレイン。
全身から、魔力オーラが溢れだす。
そして、徐々にそのオーラは強くなっていく。
「まだだ。もう少し、魔力を体内に溜めろ。そして、一気に爆発させるんだ」
クロスの声が聞き取りにくい程、レインは集中していた。
というよりは、集中せざるを得なかった。
一時でも集中を解けば、即座に魔力の流れに負けて、身体が暴走するからだ。
意思を持たないただの殺戮魔に成り果てる。
そういった事例が幾つもある魔剣造りの危険性を、改めて知ってしまった。
「うぐああああぁあぁぁあ!!」
普段のレインなら決してあげない苦しみの声。
それが今、広場中に響いている。
幸い、街の人は昼頃でご飯を食べているのか、クロス達以外誰も広場にはいない。
「ぐぐぅぅああ!」
レインの顔が更にしかむ。
クロスはただ、レインの苦しそうな姿を黙って見ていた。
しかし、心中では焦りが産まれ始めてきていた。
魔剣造りの鍵である魔力放出は、苦痛が十秒ほど伴う。
それが終わると、晴れて魔剣使いになれるのだが、その魔力放出での苦痛で精神崩壊する輩も少なくはない。
魔力の強さで、痛みが変わる。
レインの魔力なら、ギリギリいけると判断した為、クロスはレインに魔剣造りを進めたのだが。
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