第二夜 幕は上がり始める……

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「レイン……耐えろ……っ」 それしか言えないことに、苛立つクロス。 しかし、レイン自身が乗り越えないことには、魔剣を掴むことはできないのが事実。 故にクロスはただ、眼を瞑り、レインの魔剣造りが終わるのを待っているのだ。 「グガガガァァァァアァ……」 「……ッ!?」 頭上から迫り来る凶器を察して、咄嗟に後方に跳躍して避ける。 前を見ると、鈍く鮮血に濡れているかのような剣を構えるレインの姿があった。 「……クソッ、ヤバイな」 「ウゥゥ……ガッ!」 まるで獣のよう。 低い姿勢のまま突進してきて、地を這うような位置から剣を振り上げてくる。 身体の軸を半歩ずらす。 その数少ない動きで避け、クロスはレインの手、つまり剣を蹴撃した。 魔剣と思われる剣は、空中で何回か回転したのち、数十メートル離れた地点に突き刺さる。 「……おい、レイン!」 「…………」 「クソッ、魔剣造りは大体完成してるっつぅのに!」 呼び掛けても反応のないレイン。 クロスは力づくで眠らせるしかないと考え、今度は此方からレインの間合いに入る。 昨日の夜のように、魔力を体内に流して、無理矢理身体を就寝状態にもっていかせる。 手をレインの胸に置き、力を込めようとしたとき、レインの手がクロスの腕を掴んだ。
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