第二夜 幕は上がり始める……

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レインの魔剣も無事に造り終え、クロス達はミュラの街を出ることにした。 日はまだまだ人々を照らせる位置にある ミュラの街の出口は、そのまま砂漠と繋がっていて、見通しもよい。 あまりの砂漠の広さに、いささか不安になってきたりするが、それを表には出さず、出口までついてきたバリスにお礼を述べる。 「泊めてくれてありがとな。この任務が終わったら、また顔を見せにくるから……」 「ああ、待ってる。じゃあな、クロス、レイン」 「ありがとうございましたバリスさん。奥さんに宜しく言っといてください」 レインがそう言った途端、バリスの表情に影が差したが、すぐに元の表情に戻り、頷いた。 「ああ、また美味しい料理を作らせて、待っとくからな。いつでも来いよ」 「じゃあ、馬は頼むぜ、バリス。……よし、行くぞレイン」 「はいっ!」 元気良く返事し、レインはクロスと一緒に砂漠という困難な道のりを歩み始める。 それを見送るバリスの後ろに、一人の黒いローブを羽織った、銀髪の男が立っていた。 クロス達が歩み始めた瞬間に、姿を表したようで、クロス達はその存在に気づかなかったようだ。 「計画通りだな……バリス」 「あんたの言う通り動いたぞ。妻は無事なんだろうな!?」 「勿論。だが、私の命令に逆らえばどうなるか……分かっているな?」 「分かっている。…………すまない……クロス」 友に呟いたその声は、余りにも小さく、そして儚いものだった。
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