第一夜 導く先は

6/45
前へ
/256ページ
次へ
「だよなぁ……。あっ、そう言えば、俺って今日用事があるんだった! ということで、陛下の所にはジン一人で行ってくれ!じゃっ!!」 クルッと反転して、さっき来た道に向かってダッシュしようとしたが……。 「何が『じゃっ!!』だ。 おまえも行くんだよ。俺を置いて逃げるのは許さんぞ」 肩を掴まれたクロスは後ろを振り返ると、ニコニコしているジンの顔があった。 本当に楽しそうな顔なのだが、目が笑っていない。 背筋が凍るような寒気を感じたクロスは、あはははっと笑いながら頭を掻いた。 「ジョークだよ、ジョーク。 逃げるはずないって」 「どうかな?前、逃げられたことのある俺としては、ジョークとは思えないのだが?」 「そんなことあったっけ? 取り敢えず、今は陛下の元に急ごうじゃないかぁ、ジン君。 遅れて怒鳴られるのは嫌だからね」 ハァーとため息をついたジンが言った。 「そうだな、急ごう」 頷き、城に向かって走り出したジンをクロスが追い掛ける。 赤い髪が靡き、それをジンが見詰めた。 そして、唐突に口を開く。 「赤い髪…………血に染まりし髪を持つものは不幸を呼ぶ。 そんな言い伝えが中原のほうではあると聞いている。 確かかは定かではないが……」 「よく知ってるな。流石は元傭兵さん」 気を悪くする様子もなく、感心した様子のクロス。 「おまえも傭兵だろうが。 それより、気にならないか?何故、赤髪が忌み嫌われているのか?」
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9151人が本棚に入れています
本棚に追加