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「だよなぁ……。あっ、そう言えば、俺って今日用事があるんだった!
ということで、陛下の所にはジン一人で行ってくれ!じゃっ!!」
クルッと反転して、さっき来た道に向かってダッシュしようとしたが……。
「何が『じゃっ!!』だ。
おまえも行くんだよ。俺を置いて逃げるのは許さんぞ」
肩を掴まれたクロスは後ろを振り返ると、ニコニコしているジンの顔があった。
本当に楽しそうな顔なのだが、目が笑っていない。
背筋が凍るような寒気を感じたクロスは、あはははっと笑いながら頭を掻いた。
「ジョークだよ、ジョーク。
逃げるはずないって」
「どうかな?前、逃げられたことのある俺としては、ジョークとは思えないのだが?」
「そんなことあったっけ?
取り敢えず、今は陛下の元に急ごうじゃないかぁ、ジン君。
遅れて怒鳴られるのは嫌だからね」
ハァーとため息をついたジンが言った。
「そうだな、急ごう」
頷き、城に向かって走り出したジンをクロスが追い掛ける。
赤い髪が靡き、それをジンが見詰めた。
そして、唐突に口を開く。
「赤い髪…………血に染まりし髪を持つものは不幸を呼ぶ。
そんな言い伝えが中原のほうではあると聞いている。
確かかは定かではないが……」
「よく知ってるな。流石は元傭兵さん」
気を悪くする様子もなく、感心した様子のクロス。
「おまえも傭兵だろうが。
それより、気にならないか?何故、赤髪が忌み嫌われているのか?」
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