第三夜 血飛沫の舞い

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暗い廊下とは真逆。 ジェリスがギレスを殺してから半日後、砂漠を移動しているクロスたちは…… 「アッチィ…………」 ただ山のような砂丘をひたすら登っていた。 喉が水を欲しているが、ぐっと我慢して、足を動かす。 「……しょうぐ~~ん」 「何だぁ……?」 最初の元気も何処へやら。 肩を落とし、息も絶え絶えの姿は、すごい疲れようだ。 「水飲んでいいですかぁ?」 「一口だけなぁ」 そう了承してから、なんか嫌な予感がして下を見る。 まだ砂丘の下にいるレインを見てみると、 「……テメェ!」 口一杯に含んだ水。 それを視認すると、一気に今までの疲れが飛んだ。 クロスは荷物から手頃な投げるものを手に取り、部下に投げつけた。 それはとんでもない速さでレインに向かい、そのまま額にぶつかる。  ガッコーーン 「……ブハッ!!」 いったぁと叫ぼうとしたらしいが、口を開いた瞬間、水を吹き出した。 さらにもう一発、腹に当たったからだ。 容赦ない投擲に、顔を真っ赤にして怒鳴るレイン。 「何するんですか、しょーぐん!! 水が勿体ないじゃないですかっ!!」 「だったら、口一杯飲んでんじゃねえよ!! ていうか、さっきから飲みすぎだ!!」 「仕方ないじゃないですか!!」 「仕方無くないんだよ!! 少しは我慢しろっ!」 怒鳴りあったからか、はぁはぁと肩で苦しそうに息をする二人。 ──なんか今ので余計に疲れたな。
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