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自分の足もかなり痛いが、ここは我慢するしかない。
急げば急ぐだけ、後で楽をするからだ。
「疲れたんですけど……」
「俺もだ。だが、今頑張れば後で楽だぞ」
「休みたいです」
とか言っていても、レインはちゃんと足を動かしている。
クロスは二、三回頷き、自分も歩きだす。
「ほらっ、日が沈むまでにもうちょっと進むぞ」
「あっ? ちょっと!? 待ってくださいよぉ、しょーぐん!」
同時刻、神聖ラザルア帝国では、
まだ血生臭い修練場で、今日も銀髪を背中で束ねているジェリスと、ボサボサの茶髪の男性が相対していた。
どちらも得物を持っていて、空気が物騒な感じがする。
「まずはお前から力を計ってやろう、ハグルア。ストレス発散もしていいぞ」
軽口を叩き、鈍く光る大剣を構えるジェリス。
ハグルアと呼ばれた男性はただ頷き、細身の剣を中段で構える。
その細身の剣も黒色に光っていた。
「では……行くぞっ」
言下、ジェリスの身体が霞み、ハグルアが気づいた時には、既に大剣が唸りをあげて迫ってきていた。
頭上から不吉な音が耳に届く。
咄嗟に剣を持ち上げ、大剣を受け止めようとした。
──いくら、大剣でも受け止めることぐらい……。
しかし、剣がぶつかり合った瞬間、そんな考えは吹き飛んだ。
コンクリートでできた地面はボコッと陥没し、ハグルアの腕に言葉にできないほどの衝撃がきた。
思わず剣を放棄し、横に転がるようにして避ける。
「まだ、私の斬撃を受けれるほどではないか……」
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