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──何だ、今のは!? 力がどうこうという類いではなかった……っ!
「ほらっ、何を考え事をしている? 速く剣を取らないか」
立ち上がり、戦闘の最中にも関わらず考え事をしていたハグルアに、ジェリスがそう言った。
剣の無くなったハグルアに追撃をかけずにだ。
──舐めてるとしか思えない。
眉をひそめ、ジェリスを睨む。
いくら主人といえど、こうまでバカにされるのは、不愉快だ。
「……追撃をかけないのですか?」
「自分より弱い相手にわざわざ追撃をかける意味がない。更には、これは貴様の力を計るための……いわばゲームのようなモノだ。だから、別に貴様の隙を私が衝く理由がない」
確かに正論だ。
ジェリスの言う言葉は正しいのだが、自分のプライドをズタズタにしたジェリスの行為を許すわけにはいかない。
ハグルアは黒き剣をとり、先ほどと同じ構えをする。
しかし、覇気が全身から溢れ、その瞳は敵を睨んでいるかのように、眼光が増していた。
「クククッ、ようやく怒り始めたか。それでどの程度、力が増したか……気になるな!」
数メートルの間合いを一瞬で縮めたらしい。
今度はちゃんと、ジェリス動きが見え、ハグルアは風と共に疾走してくるジェリスに剣を突き出す。
「良い突きだ……だが、甘い!!」
下から現れた大剣に、下から払われる。
黒剣はハグルアの手から離れ、宙を舞う。
「くっ!」
──剣がなければどうしようもない。
ハグルアは危険と思いながらも、敵が迫ってる中、跳躍した。
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