第一夜 導く先は

7/45
前へ
/256ページ
次へ
「興味がない。と言えば嘘になるんだろうけど、そこまで知りたいとは思わないなぁ」 城門をくぐって城の中に入ったクロスは、回りにいる兵士たちに挨拶をしながら答えた。 主城ゼブラリタルの中は圧巻の一言。 至るところに部屋があり、廊下には赤い絨毯が敷き詰められていた。 大きさも半端ではなく、大広間にいくまでに結構な距離を歩かねばならない。 二人は王が待っているであろう大広間に向かって歩く。 と、その時、一際豪華な作りをしているドアが開き、一人の美少女が出てきた。 綺麗な金髪を腰の辺りまで伸ばし、瞳は透き通るような青色をしていた。 「今晩は、クロス様!!久しぶりに会えて嬉しいですわ!」 凄い勢いでクロスに抱き着き、胸に顔を沈める。 クロスはジンと共に苦笑しながら、美少女に言った。 「久しぶりです、ラクス様。このような時間まで起きていてよろしいのですか?」 「クロス様。わたくしは子供ではありませんよ。今年で17歳になりましたわ」 「存じております。ですが、ご健康に影響いたしますので、早めに寝たほうがいいと思います」 ラクスの顔に影が差し込めた。 ところが、数秒たってから、パッと悪戯を思い浮かべた子供のような顔を浮かべる。 「敬語はやめてくださいませんか、クロス様。 でなければ、わたくしは寝ませんっ」 一国の王女に敬語を使うなとは、無茶苦茶な提案をする姫様である。 勿論、クロスはそんな条件飲めるはずがない。image=236771541.jpg
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9151人が本棚に入れています
本棚に追加