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けれど辺りを見回しても探してみても姿はない。
いつもそうだ、悪戯はするくせに怒られるのは怖くてどこかへ隠れてしまう。
またひとつ、ため息を吐いて。
「…勘当してやろうかしら」
それは小さく呟いたつもりだったのだけれど。
「それだけはイヤ!」
「姉ちゃんごめん!それだけは勘弁して!」
がさがさと音を立てて木から降りてくるのは隠れていた次男と三男。
まったくこの二人は体ばかり大きくなって、と思わず苦笑する。
おいでおいで、と手招くとそろりそろりと近寄るものだから、これには声を出して笑ってしまった。
「陽条、凡、ダメでしょ?まったく…いくつになっても子供なんだから」
まぁ男の子は大抵そういうものだけど、という言葉は飲み込んで。
「今回も無事だったからよかったけど、大事故に繋がる可能性もあるのよ?ほら、そんな落ち込んでないで雷と葉王と祝融と寒河と洛水に謝りなさい」
「う…ごめん…」
「ごめんな…?」
謝れと言えば謝る、本当は素直でいい子なんだけれど。悪戯好きなのは誰に似たのやら。
苦笑していると弟たちがわらわらと集まってくる。
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