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――ピンポーン
暗くなった部屋に
呼び鈴が鳴る
頬に涙の跡が残っている
――ピンポーン
再び、呼び鈴が鳴る
少し悩んでから
僕は玄関の扉を開けた
そこには帽子を深く被った
一人の男がいた
「お尋ねしますが…この辺りで涙の落ちる音が聞こえまして…」
そして、男は
僕の顔を覗き込む
「そういえば、君は…ずいぶんと目が赤いですね」
あまりの驚きに
僕は言葉が上手に
出てこなかった
どこかで猫の鳴き声が
聞こえた気がした
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