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「…な、何を意味わからないことを!」
僕はドアに向かって
叫んでいた
「失礼ですね…私は君の涙に呼ばれて来たのに…」
男の溜め息が
ドア越しに聞こえた
「冗談じゃない!…僕はあんたなんか呼んでない…構わずに消えてくれ!」
僕は本心とは真逆の
言葉を叫んでいた
本当はすごく嬉しかった
ずっと、寂しかった
誰もいない夜
自分がいない朝
自分だけの部屋にいた
その部屋にこの男は
優しく呼び鈴を鳴らしてくれた
そのことがただ
嬉しかった…
涙がまた、一粒
頬を伝って落ちる…
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