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「…無理はしなくていいんだよ」
男は、僕の涙を
悟ったのか
少しだけ悲しそうに
つぶやいた
僕はその一言で
全ての力が抜けて
泣きながら倒れ込んだ
男の話しは続く
「君はまだ、自分を知らないだけなんだよ。心配しないでいいよ、君は一人じゃないのだから」
男は全てを包むように
優しくつぶやいた
ドアの向こう側では
男が泣いているように
僕は感じていた
「…あんたが泣いてしまったら、仕様がないじゃないか…」
二人の男の泣き声が
夜空に響いた
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