美月の帰り

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「ほほう、またもや庶民相手のお遊びで」 「お巡りがそう言っちゃあいけませんよ。れっきとした事件ですよ」 得意げに笑ってみせる叉之伍郎に、シモンは忌まわげに返した。 「都の三大華族をご存知で?」 「はいはい、西の樣音家、川下のダグラール家、地舞神社のみちはや家」 三大華族。 シモンが挙げた家々を、人々はそう呼ぶ。古くから都に貢献し、その地域たるや都会議員より権力が有るだとか。 都民のピンからキリまで、はたまた周辺界隈まで知らぬ者など罰当たりな御家だ。 「その川下のダグラール家の御嬢さんがね、昨夜遺体で発見されたのだよ」 「ダグラール家の御嬢さんが!!」 シモンは声を張り上げた。 驚愕した。 まさか、あの御嬢さんが。
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