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「つまりバラバラ死体で?」
「えぇえぇ・・・。可哀相な事に・・・」
なんと悲劇的な顔だろうか。
今の叉之伍郎は真っ赤な他人の為にそんな哀れみを浮かべる、なんと心優しく寂しい男なんだろうか。
シモンが呆れて物言えなくなる程。
「頭は振り子に・・・。手足は其の両脇に・・・。二十の指は文字板に・・・。右手の人差し指と薬指は針に突き刺さって・・・嗚呼!!」
泣き出した。
探偵‘灰被れの叉之伍郎’が泣き出した。
ぽかりと口を開かせ唖然とするシモンを気にする事なく、ほろほろ泣き続ける。仕方なく、こりゃあマズいとハンケチを差し出す。
「何故泣くのか叉之伍郎殿、泣かないでおくれ叉之伍郎殿」
「失礼シモン君・・・。珈頭黎已奴ちゃんの死に顔を・・・まさかお目にかかる日が来るなんて・・・」
ほろほろ泣く彼の言葉は、悲しんでいるのか、はたまた喜んでいるのか、よく判らない。
そんな事よりも叉之伍郎殿よ、頼むからハンケチで鼻水をかまないでくれ、と言いたげなシモンであった。
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