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「ただいま~」
悠が帰って来た。
由佳は慌てて玄関へと向かった。
そこに居た悠は…笑顔だった。
いつもとは違う…
嘘偽りの無い…
心の底からの……
笑顔。
「おかえり…」
嬉しくて涙が溢れた。
何か言おうとするが、言葉にならない…。
悠に駆け寄って抱きしめる。
「お母さん…泣かないで。もう僕は大丈夫だよ。徹也とも翔とも仲直りしたんだ。もうイジメられる事なんてないんだから…安心して。」
「そうなの!?良かった…」
そう言うと由佳は悠から離れ、キッチンへと向かった。
悠は不思議に思い、由佳に尋ねる。
「何か作るの?オムライス?」
由佳は笑いながら答えた。
「違うわよ。包丁をね…研いでたの…。でも…もう必要がなくなったから…今から片付けるの…。」
「ふうん…」
悠には由佳が言っている事が理解出来なかった。
でも今はそれどころじゃない…。
悠にはやらなければならない事があった……。
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