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夕方――
悠が家に帰って来た。
「おかえりー」
由佳は家事をやめ、玄関へ向かった。
「た…ただいま」
悠は必死に笑顔をつくって言った。
その頬に、刃物で切ったような傷があった。
「!!…ゆ」
「ごめん!!お母さん。僕宿題あるからッ」
と言って悠は二階の自分の部屋へと階段を駆け上がって行った。
「悠…。」
しばらくして守がいつもより早めに帰って来た。
守は、キッチンで夕食を作っている由佳の元へ…。
「ただいま…悠は?」
由佳は野菜を切る手を止めて、守に駆け寄った。
「悠が…今度は顔…傷付けられたの。なんで悠が?私に無理矢理笑顔作って隠して…なんでなの!?」
言うなり涙があふれて止まらなくなる。
守は由佳の頭を撫でた。
「お前が泣いてどおすんだよ。俺が悠に話聞いてくるから大丈夫。」
守は由佳を安心させるように…由佳を見つめて行った 「守…ありがと。」
本当にこの人と結婚してよかった…。
由佳は、階段を上がって行く守の後ろ姿をずっと見つめていた…。
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