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「おーー、片山。飯いこーぜ」
4時間目の授業が終わり、出しているだけの教科書をしまっていると、いつものメンバーが、いつものごとく、俺を学食へ誘う。
でも、俺はこの所、断ってばかりだ。
それも、これも、三輪の所為。
あんな卑怯な手を使ってくるとはな。くそっ。
「あ、悪ぃ、俺今日も弁当あるんだ」
「最近つれないねぇ、でも、誰に作ってもらってんだ?お前んち、絶対弁当つくってくんねーって言ってたじゃん」
仲間の一人、佐藤が俺の横で、含みのある顔で聞いてくる。
それを興味深げに見守る数人の好奇の目。
だーー、うっとうしいっ。
「そうなんだけど…」
「さては、お前、抜け駆け?」
「ぬ、抜け駆けって」
「恋人できた?とか?」
…出来た。
けど、こいつらに言えるわけねぇだろっ。
俺は、極力顔に出さないように否定してみた。
「いねぇ!!出来てねぇーーって、そんなもんいねぇ」
…顔、出てないよな?
「そんな思いっきり否定して、益々あやしいぃ~~」
佐藤は、人差し指で俺の頭を突っつく。
うーー、本気で探っているのか、軽口か、わかんねぇ、こうなったら、誤魔化しとこっ。
「突っつくなっ、えーーい、くらえっ!!俺流らりあっとぉぉ!」
「ぎゃっ、助けてっ…」
佐藤の首に向けて自分の左腕を思いっきり食らわすと、奴は、胡散臭い声をだしながら、両手でガードする。
傍観者を決め込んでいる周りの連中は、「やれーー」だとか、「決まってません、片山決まってないっ~~」だとか言いながら持て囃す。そんなこんなで、結局いつものじゃれあいとなった。
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