心のゆらぎ

6/7
前へ
/7ページ
次へ
反射的に、俺は後ずさりした。 いや、現実には、後ずさりできなかったけど。 後ろが壁でこれ以上下がれなかったから。 「じゃ、なぜ片山さんが、あの人達とじゃれると俺が怒るか分かりますか?」 「……分かると思う。でもなお前のはいきすぎだろ?」 三輪が嫉妬してるってのは分かる。 でも、ただの友達に触られても別に意味なんてねぇじゃんか。 ふくれっつらで言う俺に、三輪は今日二度目のため息をついて、見つめてきた。 見つめてっていうより、睨んで?あれ、また怒ってんのか? 「じゃぁ、質問変えましょう。片山さん、俺が片山さん以外のやつとじゃれてんの見ても平気ですか?」 そう言われて、考えてみる。が、到底三輪のような感情は自分には理解出来なかった。 それが、迫られてるってんなら解かる。 さすがにそれは嫌だ、と思う。 でも、友達だろ? 友達同士がじゃれててなんで嫉妬なんかするんだ? どうにかなる訳でもねぇーじゃん。 意味わかんねぇ。 なので正直にそう答えてみる。 「平気かも」 その言葉を告げた時、三輪はすごく悲しそうな顔をした。 俺の頭では理解できないけど、なにか、三輪を傷つけたみたいだった。 「三輪?」 不安になり、俺は近くにいる三輪に手を伸ばした。 同時に三輪は俺からすっと離れ、俺の手はむなしく空を掴む。 三輪に避けられ、俺の心臓はずきんと痛んだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

332人が本棚に入れています
本棚に追加