動き出した歯車

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僕の中の不安は確信に変わりつつあった。 やっぱり、 僕は月陰なんだろうか… もし僕が月陰なら… 『俺は嫌だからな。 離れ離れになるのは』 蓮の真っ直ぐな視線を思い出す… …僕だって嫌だ。 蓮や猛やおじさんやおばさん… 葵と神主様… 嫌いだけど成太も。 みんな僕の大切な仲間だ。 離れ離れになるなんて 想像しただけで 悲しくなる。 最初は… 蓮を本当の兄だと思ってた。 猛は僕の弟だって。 おじさんやおばさんも 本当の両親だと思ってた。 勿論二人の前では 今だって父様、母様って 呼んでいるけど だけど… やっぱり違った。 家族の中で僕だけが なんだか違った。 楽しくご飯を食べてても みんなでお風呂に入っても なんだか最後まで 楽しくなくて… ふとした瞬間、 僕と蓮達の間に おっきな溝が出来るんだ。 それは見えないけど 僕がいくら頑張っても 全然浅くならなくて… その理由は、一年前 僕が五つの時に 神主様が教えてくれたんだ。 御影石は その時に貰った。 僕達が聞いた事にだけ、 嘘を吐かないだけで きっと神主様は 知ってるんだ。 『お墓に乗せる石よ?』 僕が月陰だって事も 御影石の意味も。            
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