133人が本棚に入れています
本棚に追加
僕は神主様を見上げながら、そんな事を考えては…ただじっと黙っていた。
石龍を祭る祠…御影石、龍の巫女、月陰、…戦。
…戦。
僕は戦を知らない。
前に蓮と二人で遊んでいた時に、落ち武者に出会った事がある。
それは、今思い出しても寒気がするくらい、凄く恐ろしかった。
血と泥まみれの顔…
足と肩に矢が刺さったまま地面を這ってた。
良く見ると…首を斬られてた。
化け物を見たようで…
怖くて…
僕達は動けなかった。
その落ち武者は、僕達に手を伸ばして…
何かを言おうとしてたんだろうけど…
喉から溢れる血で言葉にもならなかったみたい…
咳でも、呼吸でも無い喉の音…
見た事もない形相のまま、僕達の一歩前で…
死んだ。
僕達は解らなかったんだ。
"理解"は出来ても、僕達の心がそれを受け入れられなかった。
落ち武者の痛みも。
死に行く意味も。
…今もまだ全然解らない。
殺人兵器…
その言葉の通り、ほんの少し想像は出来るけど…きっと多分、解らない。
最初のコメントを投稿しよう!