覚醒

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夢を見た… 母様の夢だ… 夜泣きする僕を… 一人御神木の様な 木の下でおぶって… あやしながら歌ってた…。 『御ー影石、御影石ー…』 そう… 僕はいつか… この里に… …母様と来た。 『……、 お前の名前は……。 御石様に頂いた… 大切な名前だよ。』 「……郎!…二郎! ……小二郎!!!」 …葵の声だ。 ハッと目を開けると秘密基地の切株に座ったまま、僕は眠っていたらしい。 「大丈夫か?」 しゃがんで僕を見上げる蓮の顔… 「全く、脅かさないでよ…」 隣の切株で溜息を吐く葵の横顔… 「あ…ごめん」 母様…僕の名前を呼んでた… 僕の名前… 御石様がくれた…? ………御石様? 猛が隣町から来た御医者様に診て貰っている間、僕達は秘密基地で話をしていた。 里に見張りが付いてから、里は依然の活気を無くしていたし、僕達も何となく、前の様に常に楽しくって訳にもいかなかった。 「おばさん… 辛そうだったね…」 葵が呟く。 「………うん……」 蓮は僕の隣の切株に腰掛けて頷いた。 「おじさん…、 東の兵に殺されたって 成太のおじさんが 言ってたけど…」 「…月陰だ。」 葵が話だしたら、蓮が一言、言葉で止めた。 蓮は前屈みになって肘を足に掛けた状態で、前方を真っ直ぐに見つめたまま話し始める。 「俺… あれから町に行って 調べたんだ。」 「調べた?」 僕が聞くと、蓮は小さく頷く。 「父様を殺したのは 『白上下(シロカミシモ)に "月"の紋様の男』 『壱拾弐剣士の次期頭領、 心鑑(コカガミ)の 和儀(ヨリギ)』だって 町の人が言ってた。」 蓮が僕達を見る…。    
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