【第二章】 烏と世界

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いい加減アリアの話のネタも尽きたので、僕は依斗のいる木から、ミカゼ達のいる川に向かった。依斗ってば、どうしてアリアにこだわるのだろう?寧ろ、ミカゼに興味が無さすぎるだけ? そんか考えをしていても埒があかない。川まで後20メートル。そんな時だった。 「嫌!他にも方法はあるでしょう!?」 アリアの高い怒鳴り声が聞こえた。何事だろう?僕は二人の前を旋回し、ミカゼの肩にとまった。 「どうしたの?」 「あぁ、リクトか。実はアリアが風呂に入りたいと言って…」 「川で体を洗うなんて絶対に嫌ですわ!」 ……なるほど。どうやら、ミカゼはアリアに川で水浴びを奨めたらしい。 「アリア。他に水場はないし、湯を沸かそうと言っても、水を入れる大きな器もない」 「ぅ……っ!」 アリアはチラチラと川を見ている。どうやらプライドと戦っているみたいだ。 「体をふくものなら、ほら」 ミカゼは風呂敷の中から一枚の綺麗な布を渡した。それを触ったアリアが目を見開く。 「これ、体をふくために使ってよろしいのですか?」 「何故そんなことを聞く?」 「だってこれ、あなたの服よりいい素材ですわ」 「……悪かったな」 ミカゼが拗ねたように視線をずらす。それを見たアリアは慌てて「すみません」と謝った。
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